2010年 7月号
  梅雨も後半になり、雨が続いています。今年の雨は、激しく降ったりやんだりで、急な大雨には注意してください。これを過ぎれば、いよいよ、夏本番です。

 最近、話題に出た"手足口病"と"登園・登校許可書"について
 6月から7月にかけて、手足口病が流行中です。

  厚生労働省からの手足口病Q&A
http://www.iph.pref.osaka.jp/infection/soku/s1/Q&A.pdf

  保育園や幼稚園などで、許可書をもらってきてほしいとの依頼を受けました。登園登校許可書は、原則は、"人にうつす可能性が低くなったので、登園を許可します"との証明であり、手足口病の場合、その意味では、証明書にあわないので、口頭で登園・登校OKですと指示しました。一方、手足口病の病気については、すぐに、院内掲示板に病気の説明文を掲げ、説明文を患者さんへお渡しすることにしました。そこでも、記載したように、手足口病は、ごく軽症では、発疹も出現しないで"ウイルス"のみ排出するようなものもあり、また、手足口病と診断したあとも、2,3週間"ウイルス"を排泄するので、園や学校で発症者を"隔離"したところで流行を防ぐことができないため、本人が元気であれば登園制限の必要なし、となっています。幸い、手足口病は、小児の場合、ほとんどが軽症であるため、大きな問題にはなりません。しかし、手足口病でも"突然変異?"のように、重症化するウイルスへ変化?(この言葉は、科学的には正確ではありませんが)することがあり、これが、流行すると、乳幼児で死亡する症例が多発することがあり、現に、数年前には、中国の一地方で流行し、数十人の乳幼児が死亡しました。

  インターネットは普及した、今、情報はたれ流しの状況です。
 なんでも、かんでも、許可をもらってきてくださいでなく、正しい情報と対応を心がけることが重要と考えます。
  みなさんの記憶も薄れてきているかもしれませんが、昨年の今頃、新型インフルエンザが初めて集団で発生した学校が、学校閉鎖になり、授業を再開するに先立ち、"汚染された学校"のイメージを消すために、学校の教室を消毒していましたことを覚えておられる方もおられると思います。もちろん、"ノロウイルス"や"ロタウイルス"のような人から外に放り出されても、感染力を保ったまま生き残るウイルスをありますが、インフルエンザウイスルは、人から外へ放り出されると数時間から半日で感染力は失います。この意味では、数日閉鎖された学校を再開するにあたり、消毒の必要は全くなかったことになります。
  風評被害は困ったものですが、園や学校などこどもたちが集団で生活する際には、感染症はつきものであり、この感染症からこどもたちを守るためには、とおりいっぺんの対応でなく、正確な病気への理解を、親御さんや園の先生方も共通して心がけることが重要と考えます。

  最初にもどりますが、"手足口病"の場合、重症化する恐れのある手足口病なのか?が重要であり、"登園許可書"でなく、手足口病で入院した場合、個人情報に抵触するかもしれませんが、"入院連絡書"なるものを早急に発行してもらって、いち早く重症度を把握して、複数人が手足口病で入院したら、1か月以上学園閉鎖するぐらいの覚悟が必要かもしれません。このようにしても、手足口病の流行が防げるかどうかは分かりませんが・・・。
         

 大阪府下感染情報(7/5〜7/11)
 
多い順から、手足口病・感染性胃腸炎・ヘルパンギーナ・水痘・おたふくの順です。

 新年長児・新中学1年生・新高校3年生のお子さんへ、
毎年繰り返しますが、MR(麻疹・風疹)ワクチンは2回接種がとなりました。可能な限り夏休み中までに接種しましょう。 。

 当クリニックの感染情報(7月15日現在)
 いろんな感染症が流行しています。 症状なく急な高熱の場合(夏なぜ)には1〜2日で解熱しますが、朝解熱夜発熱の場合は3〜5日間発熱が続き、途中から咳などが出現しています。胃腸炎は少ないですが、夏は"細菌性腸炎"が多くなります。なまモノには注意しましょう。その他、水痘・溶連菌・おたふくが散見されます。溶連菌は一時減少しましたが、まだ続いています。

 日本脳炎予防接種
 新しいワクチンが開発され、現在接種可能です。7歳半までが公費負担です。

なかじまクリニック 小児科・循環器科
院長 談