2009年 10月号

  今月でクリニック開院して5年が過ぎました。今後ともよろしくお願いします。
  8月中旬から始まった新型インフルエンザの流行が現在でも徐々に増加しながら続いています。ピークをむかえるのはおそらく今月と思われますが、季節型インフルエンザに比べて急激な患者さんの増加はないような印象です。これは、皆さんが意識を持って予防につとめていること、かかったお子さんがしっかり回復するまで休んでいること、学校で4日程度学級閉鎖や学年閉鎖を行っていることなどが理由と考えます。インフルエンザは、決して侮ってはいけない疾患で、報道にあるような重症例もありますが、症状の軽いお子さんもおられます。今のところ、タミフルやリレンザは、季節型インフルエンザ同様、発熱期間を1日から1.5日短くしてくれる効果しかありません。
 
  先月号にも記載しましたが、小児の場合、発症最初の3日間のうちに、皆さんが心配されている、脳症・脳炎や呼吸困難を伴うウイルス性肺炎などの重篤な合併症が生じるようです。このため、この間、お子さんの様子をしっかり観察することが最も重要で、薬を内服すれば安心ではありません。一方、インフルエンザ迅速検査は、陰性だからといって"インフルエンザでない"と診断できるものではありません。お子さんにインフルエンザを疑う場合、まず、お子さんの周りにインフルエンザの患者さんがこの数日にいなかったかどうかを確認する。
  39度以上の高熱であっても発症12時間は経過観察する。
  38度以上の発熱でも、比較的元気であれば発症24時間は経過観察する。
  37度〜38度の発熱で、元気であれば園や学校は休んで発症48時間は経過観察を行い、クリニックへ受診してください。
発症48時間以内に内服を開始しないとタミフルやリレンザの効果はありませんが、元気であれば、必ずしも内服の必要はありません。内服したからといって、早く登園・登校できるわけではありません。
新型インフルエンザであれば1週間程度休むつもりでお願いします。

@ 当クリニック感染情報(10月8日現在)
  当クリニックのインフルエンザ症例は少しずつ増加傾向です。
しかし、現在、乳幼児が"偶然"インフルエンザにかかるほどの状況ではありません。生活範囲の広い家族から、保育園や幼稚園で感染するようです。大きなお子さんや成人では、微熱や比較的軽症なインフルエンザのかたもおられます。大人で体調が悪いと考えれば、そのまま放置せず、前述した経過観察期間をふまえて、クリニックへ受診してください。
  その他の感染症では、小さいお子さんの発熱患者を認めますが、通常の感冒や突発疹などです。
A 日本脳炎ワクチン
  日本脳炎ワクチンは、今のところ希望者に順調に接種できています。T期の公費負担は7歳半までです。

B MR予防接種(年長児・中学1年生・高校3年生のお子さんへ)
  MR(麻疹・風疹)ワクチンは、昨年から世界標準になり、2回接種となりました。来年3月末までにMRを忘れずに接種しましょう。

なかじまクリニック 小児科・循環器科
院長 談