2009年 9月号

  日中は暑さが厳しいようですが、朝夕はしのぎやすくなってきました。季節としては最もいい季節になる予定が、豚インフルエンザの流行の兆しが認められ、ご心配なことと思います。残念ながら、豚インフルエンザの流行は防ぎようがありません。大阪は8月中旬に流行期に入りました。例年の季節性インフルエンザでは、流行期に入ってから流行ピークに達するには約2か月かかると言われています。いつもの流行時期と気温や湿度も違うので予測は難しいですが、10月中旬ごろに流行ピークがくると推測しています。もちろん、インフルエンザは、通常の"感冒"に比して、侮ってはいけない疾患ですが、自分の治癒力で治る以外に方法はありません。
発症最初の3日間のうちに、皆さんが心配されている、脳症・脳炎や呼吸困難を伴うウイルス性肺炎などの合併症が生じると考えられています。

  しかし、このような合併症はすべてに起こるわけではありません。少数ですが、当クリニックでも、インフルエンザを診断していますが、比較的元気なお子さんもおられます。しかも、抗インフルエンザ薬は、今のところ熱を1日短くしてくれる効果しかありません。このため、まず、インフルエンザを疑えば、大人も子供も自宅で待機してください。
発症24時間は経過観察してください。その間に、学校や職場でインフルエンザに罹った人がいないかどうかを調べるとともに、いつもの"感冒"より元気がないか体の倦怠感が強くないか、を観察してください。意識障害や呼吸困難を伴うようであれば、すぐに医療機関へ受診してください。そのような症状がなければ1日経過観察し、やはり"全身倦怠感が強い"兆候があれば、24時間観察後クリニックへ受診してください。

  インフルエンザの診断キッドの感受性は、豚インフルエンザでは、高くて約80%以下と言われています。検査が陰性であったとしても、インフルエンザを否定できるものではありません。比較的元気であれば、自宅で水分を補給して待機してください。
発症3日目に入るなら、クリニックへ受診してください。

大阪府下感染情報(8/31〜9/6)
  多い順から、感染性胃腸炎・ヘルパンギーナ・おたふく・水痘・突発疹の順です。  
夏かぜの代表であるヘルパンギーナの流行期は終了しました。

@ 当クリニック感染情報(9月9日現在)
  当クリニックのインフルエンザ症例は9月に入って現在まで3名です。小学生以上の大きなお子さんです。現在の流行状況は、乳幼児が"偶然"インフルエンザにかかるほどの状況ではありません。
  その他の感染症では、小さいお子さんの発熱患者を認めますが、通常の感冒や突発疹などです。いわゆる夏かぜも少なくなり、特別な流行疾患は認めていません。わずかに、アデノウイルス感染や溶連菌感染が認められる程度です。
A 日本脳炎ワクチン
  日本脳炎ワクチンは、今のところ希望者に順調に接種できています。公費負担は7歳半までです。時期はともかくとして、未接種のお子さんは必ず接種するようにしましょう。大阪では養豚場が近くにないので、3歳以上のお子さんが対象です。

B MR予防接種(年長児・中学1年生・高校3年生のお子さんへ)
  MR(麻疹・風疹)ワクチンは、昨年から世界標準になり、2回接種となりました。まず、1歳台に接種、その後は、保育園や幼稚園の年長組、中学1年生(2012年度まで)、高校3年生(2012年度まで)です。予防接種は95%以上の接種率を確保しないと、その病気を撲滅することはできません。来年3月末までにMRを忘れずに接種しましょう。

なかじまクリニック 小児科・循環器科
院長 談