2008年 12月号
 
 12月になっても暖かい気候が続き、冬になった実感はなく、季節の変わり目がずっと続いている印象です。本格的な冬に向かって、体調管理を怠らないようにしましょう。

@ 大阪府下感染情報(11/24〜11/30)
 多い順から、感染性胃腸炎・溶連菌・水痘・RS・突発疹の順です。インフルエンザは11月中では横ばいの状態でしたが、今週あたりから大阪全体に増加傾向にあるようです。

A 当クリニック感染情報(12月4日現在)
 RS感染が11月中に比べてやや低下傾向で、溶連菌が軽度増加傾向です。また、12月に入って、嘔吐や下痢を主訴とする胃腸炎が増加傾向です。嘔吐物や便の取り扱いには注意するとともに、手洗いをしっかり心がけましょう。
  当クリニックのインフルエンザも11月中は大きな増加もなく、また、減少することもなく推移していました。小さい局所的な長続きしない流行が続いている印象です。おそらく今後増加することは間違いないと考えますので、保育園・幼稚園や学校の最近1週間以内の流行状態を把握しておくことが重要です。また、年長児のお子さんでは、夜高熱でも朝熱なく元気である状態が2日以上続けばぐったりしなくてもインフルエンザの可能性もあります。ご注意お願いします。

B ヒブワクチン(Hib)その3 予約開始
 それでは、ヒブワクチンの対象年齢は5歳未満として、具体的にどのようにすればいいのでしょうか?
  インフルエンザ菌による重症感染症の一つである髄膜炎の発症年齢は、1歳未満が約40%、2歳未満で約80%を占めています。また、お母さんからのインフルエンザ菌の移行抗体は生後3から4カ月で消失するといわれています。

  このことから考えるとヒブワクチンの接種は、
  生後2カ月から7カ月未満までに開始し、4週から8週あけて、まず3回接種、その1年後に追加接種、計4回接種が原則となります(医師が認めた場合接種間隔は3週でもよい)。
  他の予防接種との間隔は、通常通りで、BCG・ポリオ・MR・おたふく・水痘などの生ワクチンでは4週間、三種混合などの不活化ワクチンでは1週間の間隔をあけて接種することになります。1歳までに、BCG、ポリオ、三種混合3回とワクチンを接種しなければならない上にヒブワクチン接種3回になると大変ですので、一般的には三種混合と同日に接種することが推奨されています。
 
  この年齢からはずれた場合は以下のような予定となっています。
  生後7カ月から1歳未満は、4週から8週あけて、まず2回接種、その1年後に追加接種で計3回接種(医師が認めた場合接種間隔は3週でもよい)。
  1歳以上5歳未満は、1回接種。  
  副作用は、まれに、接種部位の発赤・腫脹、かゆみなどが認められるようです。もちろん、100%安全な予防接種はありませんので、接種後何かあればクリニックへの受診が必要です。しかし、世界110ヵ国以上の国で、すでに接種されている予防接種であり、お子さんの利益を考えれば、接種をお勧めします。ただ、3回、4回接種となると、約2万から3万円の費用が必要です。全国の自治体によっては、すでに、ヒブワクチンの助成金制度を検討しているところもあるようです。
 
  ヒブワクチンが日本のすべての乳児に接種されるようになる時期が、1日も早く来るように願って、接種を進めていきたいと考えます。

なかじまクリニック 小児科・循環器科
院長 談