2008年 7月号
 
 例年は"梅雨"の真っただ中にもかかわらず、局所的な大雨ばかりで、大阪は雨が少なく蒸し暑くなってきました。体が汗をかくことになれない時です。汗をかくときはしっかりかいて、水分を補給し、シャワーで汗を洗い流すことに心がけましょう。

@ 大阪府下感染情報(6/29-7/5)
 多い順から、感染性胃腸炎・手足口病・ヘルパンギーナ・溶連菌・水痘の順です。胃腸炎、溶連菌がやや減少し、手足口病・ヘルパンギーナが増加傾向にあります。 麻疹の報告が続いていますが、流行の兆候はありません。

 今年から始まったMR(麻疹・風疹ワクチン)V期やW期の中学1年生および高校3年生のみなさん、夏休みまでに必ずMRワクチン接種を受けましょう。


A 当クリニック感染情報(7月9日現在)
 当クリニックでも、溶連菌やおたふくは減少傾向です。7月に入っていから、いわゆる夏型かぜが増加傾向です。夏型かぜとは、"手足口病(最近手足口病は夏以外にも流行しますが)"や"ヘルパンギーナ"に代表されるような、咽頭、硬口蓋や舌などに発疹やアフタをともなうウイルス性の疾患です。手足口病のように発熱がなかったり、あるいは、高熱で発症しますが発熱期間は2日程度です。ただ、咽頭痛は解熱後2、3日続きます。それ以外にはアデノウイルス感染もやや増加傾向です。その他、高熱が4、5日続くウイルス性と判断される感染症も散見されます。
B マイコプラズマ肺炎について
 これは、肺炎マイコプラズマというウイルスでもない細菌でもない病原体が引き起こす疾患です。細菌のように細胞壁がないので、通常使用される殺菌的な抗生剤は無効です。治療は、小児ではマクロライド系の抗生剤(エリスロシンやクラリスなど)が主に使用されますが、当初"かぜ"との鑑別がむずかしいので、これら抗生剤の内服が遅れることが多いようです。ただし、この抗生剤は主にマイコプラズマの増殖を抑制する効果であり、基本的には自分の抵抗力で治癒していく肺炎です。症状は熱のない軽い咳だけでよくなるものから、心筋炎・髄膜炎・脳炎などを合併して重篤な状態になるものまでさまざまです。残念ながら1回罹患したら2度とかからない疾患ではなく、免疫力(罹らないように予防する力)は一定期間で低下して、再度罹患することがあります。有効な予防接種はありません。
 1歳までに40%、5歳までに65%、成人では97%の人がマイコプラズマに一度は感染していると言われています。4歳以下では無症状か軽い咳で治癒することが多いようです。通常は、学童から若年成人が罹患する肺炎で、潜伏期は2〜3週間。発熱で発症し、3、4日してから咳が出現、当初は"コンコン"としたカラ咳から始まり、その後痰がからんだ咳に変化し、早朝や夜間就寝時に咳が増強します。咳のピークは2週間目で、4週間程度咳が続きます。以前は、オリンピックの年や季節は初秋から冬に流行していましたが、最近では、流行周期も季節もなくなりつつあるようです。

なかじまクリニック 小児科・循環器科
院長 談