2008年 6月号
 
 6月早々"梅雨入り"が宣言されました。雨が続き、湿気も多くなる時期ですが、雨に負けることもなく頑張って元気で過ごしましょう。

@ 大阪府下感染情報(5/26〜6/1)
 多い順から、感染性胃腸炎・溶連菌・水痘・アデノウイルス(咽頭結膜炎)・手足口病の順です。胃腸炎、溶連菌がやや減少し、水痘、アデノ、手足口病が増加傾向にあります。 麻疹の報告が続いています。最近、学校・学年・学級の閉鎖の報告はありませんが、今年に入って、大阪では既に5か所で学級閉鎖の報告があります。いずれも中学校や高校です。当クリニックでも、1歳過ぎや幼稚園年長さんはMR接種に来院されますが、中学1年生や高校3年生のお子さんは接種に来院されません。
 今年から始まったMR(麻疹・風疹ワクチン)V期やW期の中学1年生および高校3年生のみなさん、夏休みまでに必ずMRワクチン接種を受けましょう。


A 当クリニック感染情報(6月5日現在)
 当クリニックでは、胃腸炎・溶連菌・水痘・おたふくかぜの順で疾患が散見されます。特におたふくは4月末から5月、6月と、一か所の保育園・幼稚園で流行しています。これだけ流行すると、いずれおたふくの後遺症による難聴のお子さんが発生しても不思議はないかもしれません。
 流行している保育園・幼稚園のお子さんをお持ちの親御さんへ・・・
 無駄になるかもしれませんが、おたふくに罹らないために、罹っていないお子さんや予防接種を受けていないお子さんは、おたふくの予防接種をお勧めします。
B 百日咳について
 これは百日咳菌で起こる感染症です。三種混合(三混)予防接種の普及で発症患者は激減していますが、この予防接種を打っていれば絶対に一生涯かからないわけではなく、最近では、予防接種受けてから時間がたった成人での報告例が増えており、今年は成人患者が増加しているとも言われています。
 症状は、(潜伏期)平均7日。(カタル期)1から2週間続くかぜ症状で、熱はなく、だんだんと夜間の咳が強くなる。(痙咳(ケイガイ)期)長く続く連続的な咳き込みとそれに続く笛声を伴う吸気(息を吸う)とゆう発作を繰り返す。咳がひどいために、顔面が紅潮する。乳児ではこのような咳き込みはなく、無呼吸やチアノーゼ発作として現れることもある。これが4から6週間続く。
 (回復期)徐々に咳き込み発作が減少し、2から3週間のうちに咳が消失する。
(治療)カタル期に抗生剤を内服しないと症状の改善は得られません。このため、"かぜ"との鑑別が困難で、治療は遅れることがほとんどです。痙咳期にも抗生剤が2週間ほど投与されますが、これは除菌の目的です。以上が典型的な症状ですが、成人では予防接種を受けていると典型的な経過はたどらず"1ヶ月以上続く咳"で見つかる場合が多いようです。
 三混予防接種目的は、生後5ヶ月以下の乳児では百日咳脳症を合併し重症化しやすいことを予防することが最大の目的です。このため、BCGを生後3ヶ月で打ったあと、早急に三混を接種しましょう。

なかじまクリニック 小児科・循環器科
院長 談