@小児感染情報 (6月11日現在)
現在、感染症としては胃腸炎が多いようです。しかし、症状はばらばらで、嘔吐主体であったり、下痢が主体であったり、発熱があったりなかったりしています。次に水痘・溶連菌感染が局所的に流行しています。特に溶連菌感染はここ1ヶ月以上長く流行しています。空気が乾燥している影響もあると思います。溶連菌感染は、ご存知のように抗生剤が有効な病気です(発熱疾患はほとんどがウイルス性で抗生剤は無効です。)。しかし、溶連菌感染は中途半端に抗生剤を服用することが最もいけないことです。抗生剤の必要の有無をしっかり判断して治療を受けましょう。
*溶連菌感染
主に幼稚園児から小学校低学年の病気で、典型的には咽頭痛を伴う咳のない発熱疾患です。放置しておくと、体全体に赤い細かい発疹が出現したり、関節部に痒みを伴う発疹が出現したりします。されに進むと、舌が赤くなって"イチゴ舌"が出現します。抗生剤を内服すると症状は2日間程度で消失し、2日間内服で感染力も消失しますが、溶連菌を咽頭から除菌するために、約10日間の抗生剤の内服が必要な疾患です。
A麻疹(はしか)について
麻疹は急激な増加傾向はありませんが、麻疹と診断される症例報告はいまだ散見されています。麻疹は感染力が強いこと、潜伏期が約10日間と長いことから、10日間以上報告例がなくならないと安心はできません。一般的に麻疹は4月から5月にかけてピークをむかえます。夏休みまでのあと約1ヶ月の注意が必要です。
麻疹の今年のような流行は今後も予想されます。この機会に、麻疹に罹患歴がなく麻疹の予防接種を2回受けていない小学生以上の全員(成人も含めて)が"麻疹"の予防接種を受けることがこのような流行を防ぐ最もよい方法と考えられますが、残念ながら日本には、それだけのワクチンの本数はありません。麻疹単独ワクチンはもちろんのこと麻疹・風疹混合ワクチンの入手も困難となってきています。
今のところ、
1歳を過ぎたお子さんは早急にMR混合ワクチンを受けること。
麻疹の罹患歴もなく予防接種も受けてない人は、年齢を問わず予防接種をお勧めします。
成人の方でも家族に1歳以下の乳児がおられる場合、麻疹の予防接種を受けていても、高熱や発疹を伴うような発熱があれば、早めに医療機関へ受診するようにしてください。