2007年 5月号

  4月から新しく始まった緊張した生活にも少し慣れて緩みがちなところに、連休の遊び疲れで、体調を崩しやすい5月です。気合を入れて、しかし、余分な力を抜いて、夏休みまで楽しい園や学校の生活を過ごしましょう。

@小児感染情報 (5月11日現在)
  まずインフルエンザ情報ですが、4月9日から学校が始まり、ごく一部の学校では集団でインフルエンザが流行しましたが、大きな流行にいたらずほぼ終息しました。
 現在、感染症としては胃腸炎が最も多いようです。4月中旬は"嘔吐"が主体の胃腸炎が多かったですが、やや下火になりつつあります。それ以外は、水痘や溶連菌感染やアデノウイルス感染が散見されます。また、1週間ほど高熱が続く発熱患者も認められます。白血球やCRPの値から"細菌感染"とは考えにくいので、"ウイルス"感染と判断しています。

A麻疹(はしか)について

 報道を通じてご存知と思いますが、"麻疹"の報告が増加傾向にあります。  
 麻疹は、ご存知のように感染力が強く、罹患すると約2000から3000人に1人の割合で脳炎が生じるといわれ、特に乳幼児では死亡率も高くなる病気です。わが国では1966年から予防接種が開始になり、1978年から定期接種になりました。予防接種率の上昇に伴い、全国的な流行は1991年以降なくなってきています。ところが、麻疹患者が減ってくると、言いかえると、麻疹ウイルスが町中からなくなると、予防接種で獲得した麻疹の免疫力は町中のウイルスから刺激を受けないために低下し、結果的に麻疹に対する集団の免疫力が低下し、局地的な流行が起こるようになってきています。最近では2001年に小流行が認められました。このようなことから、小児期に免疫力を再度高めるために、ようやく日本でも麻疹の2回目の予防接種が昨年度から導入され、今年小学1年生になった子供たちだけ、昨年度の間に"MRU期ワクチン"として接種されました。しかし、現在小学2年生以上はそのような処置がとられていません。  
 今年になって、東京で"麻疹"が小流行しています。大阪でもぼちぼち報告されつつあります。罹患している患者さんは小児では麻疹予防接種を受けていないお子さんですが、15歳以上の成人の患者さんでは予防接種未接種の人以外に、予防接種を受けて約10年以上経過した人もおられるようです。これらの人たちは日常生活の活動範囲が広いことから、麻疹ウイルスを全国に"ばらまく"可能性が高いと考えられ、人が激しく動くゴールデンウィークも終わったことから、全国的に麻疹が流行する可能性を秘めています。  
 今のところ重要なことは、  
 1歳を過ぎたお子さんは早急にMR混合ワクチンを受けること。  
 麻疹の罹患歴なく、予防接種も受けてない人は年齢を問わず予防接種をお勧めします。
  成人の方でも家族に1歳以下の乳児がおられる場合、麻疹の予防接種を受けていても、高熱や発疹を伴うような発熱があれば、早めに医療機関へ受診するようにしてください。       


なかじまクリニック 小児科・循環器科
院長 談