2007年 2月号

  暖冬が続き、過ごしやすい気候が続いています。そのためか、空気が乾燥して、咳や鼻水が続いているお子さんが増えている今日この頃です。


@小児感染情報 (2月14日現在)
  まずインフルエンザ情報ですが1月22日ごろから小学生に小規模な流行が認められるようになって来ています。間違いなく流行期に入りましたが、今後例年のような大規模な流行が来るかどうかは不透明な状況です。ただ困ったことに、現在、インフルエンザはA型とB型が同時に流行してきています。当クリニックでは半々の状況です。他の地域ではややA型が多いようです。A型は症状的にもやや重症ですが、B型はやや症状が軽く、小学校の高学年では38度までの微熱でもインフルエンザのお子さんがおられるようです。この場合でも"全身倦怠感"は強いようです。ただ、インフルエンザもただの"感冒"ですので、感染力は強いですが、元気なお子さんでは内服薬なしで"なおる"病気です。ご両親が心配な、"インフルエンザ脳症"ですが、これは、発病の2日前後に起こります。このため、お子さんが発熱された場合、2日間はお子さんの様子をしっかり観察してください。お子さんの意識がはっきりしていれば心配ないと考えます。

 インフルエンザ以外では、幼稚園児に溶連菌感染が、1から2歳に"アデノウイルス"感染が、また、RS感染も散見されています。水痘も散見されます。

 胃腸炎の症例も多いですが、年末に流行した嘔吐主体の"ノロウイルス"の胃腸炎は認められていません。例年、1月ごろから流行する1歳以下のお子さんが下痢をする"ロタウイルス"が、便の検査で認められるようになりました。時期的には例年に比べてやや遅いですが、これから乳児に流行するおそれがあります。

A抗生剤について(抗生剤の種類について)
  抗生剤には種類があります。1つの抗生剤がすべての種類の細菌を殺菌するわけではありません。原因となっている細菌を考えて選ぶことになります。  
 通常の細菌では、ペニシリン系やセフェム系の抗生剤が使用されます。セフェム系(ケフラール・バナン・セフゾン・メイアクト・フロモックスなど)はペニシリン系に比べ、下痢や発疹の出現の副作用がやや少なく、より広い範囲の細菌に有効で耐性菌にも効果があり、日本ではたくさん開発され、常に新しい薬が使用してきました。その結果、耐性菌が増加し、新しい薬を作るといったサイクルが出来上がりました。さらに最近の研究では、統一した抗生剤の使用方法をすすめていく(例えば、急性中耳炎に第一選択の抗生剤としてペニシリン系のアモキシリンを使用するなど)ことで、その地域の耐性菌が減少することがわかってきています。

     小学校入学前にMRワクチン接種を忘れずに。


なかじまクリニック 小児科・循環器科
院長 談