2006年 11月号
 

 例年に比べ、暖かい日が続いています。しかし、昼夜の寒暖さがありますので、昼間に汗をかいた場合はそのまま放置せず着替えをさせてあげてください。


@ 小児感染情報
 感冒性胃腸炎が増加傾向にあります。嘔吐中心の胃腸炎も増えてきました。
ほとんどがウイルス性の胃腸炎です。便以外に嘔吐物の取り扱いに注意してください。嘔吐物も放置せず早めにビニール袋に包んで密閉してから廃棄してください。
 それ以外には、水痘も増える傾向です。おたふくも散見されます。
 空気が乾燥してきて、溶連菌感染も散見されるようになりました。溶連菌では高熱が持続せず、微熱になっているお子さんも見られます。咳がなく咽頭痛を伴う場合や体幹の紅班や発疹がみられる幼稚園児や小学校の低学年のお子さんは注意してください。
A 抗生剤について(その1)
 急な発熱はこどもではよく見られることです。発熱の原因にはウイルス性と細菌性があり、ほとんどはウイルス性で、ウイルスが原因であれば、いわゆる“抗生剤”はまったく無効です。はしか・風疹・水痘・おたふく・アデノウイスル・プール熱・手足口病・突発性発疹・りんご病・ヘルパンギーナ・ロタウイルス腸炎・ノロウイルス腸炎・RSウイルス・ヘルペスなど、もちろんこれから流行の季節になるインフルエンザもすべて、ウイルス性の疾患であり、抗生剤を内服したからといって熱が下がるわけではありません。大多数の発熱の原因はウイルス性です。
 では、なぜ熱があると抗生剤を処方するか?(熱もないのに咳や鼻汁だけで処方する人もいますが)
 熱を下げるために処方しているわけではありません。熱がなくても、たとえば“とびひ”は皮膚の細菌感染であり処方するほうが早くなおることがあります、また、溶連菌感染は処方すれば大多数はすぐに解熱しますが、咽頭から溶連菌をなくすために約10日から14日間抗生剤を処方する。と言うように、細菌性の病気と診断したり、細菌を除去する必要があったりすれば処方するわけです。さらに、ウイルス性の病気のあとは抵抗力が低下するため、細菌はどこにでも存在するから抵抗力が低下したときに細菌感染を合併しやすいから予防のために処方する。発熱の原因がウイルスと100%断定できないから処方するなど。この“さらに”からの2つの理由が、熱があると抗生剤を処方される主な理由となります。しかしこの理由は頻度としてはまれであることは疑いもないことなのです。
 抗生剤を処方されたら、一度その理由を考えませんか?尋ねてみませんか?    
 来月からはこどもの細菌が原因である主な感染症を解説します。 


なかじまクリニック 小児科・循環器科
       院長 談